「ルーク あのさー。聞きたいんだけど・・・。」
仕事から 帰ってきて夕飯の残りを食べていると、ライリーが手前の椅子に座り、おもむろに切り出した。最近彼は、俺のことをルークと呼ぶ。若葉のことは未だにちゃん付けだが、彼曰く女の子に対するポリシーなのだそうだ。よくわからん。
「なに ?」
ライリーは、彼の後ろで音楽をガンガン鳴らしながら 運動している若葉をちらりと 見て言った。
「ルークと若葉ちゃんって付き合ってるの?」
・・・ 野郎で恋愛トークかよ。
「・・・いや、 付き合ってないが?どうした。若葉に気でもあるのか ?」
顔は冷静を装い、少しからかい口調で聞いてみる。
「あー。そーでもないんだけど・・・。ちょっと気になるって言うか・・・。 一緒に暮らしているわけだしだな。情報収集って言うか。」
「そうか。」
・・・結構今更デスネ。
ま、八割方、最近若葉のこと気になり始めたってとこか。
ふと最近の二人の様子を思い出す。
そういえば、最近親密に話している所をよく見るようになったな。
あれは、今思うとライリーの方が若葉に迫ってるといった感じだったか。
でも、若葉もまんざらでもなさそうだったな。
あいつ、ライリーも遊び人かと思ったが、仕事が早く終わると子供のことあまり好きそうじゃないのに、 若葉のデイケアの仕事を手伝ったりしてる所を見る。
意外と面倒見も良さそうなタイプらしい。
「ルークは、付き合っている人いないわけ? 」
・・・何故俺の話になる!?
「いない。最近は、大きな事件追ってて 捜査で忙しいし、そんな暇ない。」
暇を作ろうと思えば作れるんだろうが、気力も今付き合いたい人も居ないのが現状だ。
だったら、作った時間を本を読むことや修行をしている方が有意義だと思う。
・・・枯れてるな、俺。
「ふう。そーゆう所堅物だよなーお前はー。んなこと言ってると一生独身だぞ。」
「別に。独身でも結構です。」
「うー わー。ん?待てよ。こーゆう奴に限ってソッチの道に行くんだよな・・・。」
「あ ?ソッチってなんだよ・・・。」
「あー。 だからー、男と男ってことだよ・・・。」
「・・・・。」分かった俺はじと目でライリーを見、「ははーん。言っとくけど、 俺はソッチの気無いから、期待しても無駄だぞ、ライリー。」と釘を刺しておいた。
こいつ、バイっぽいもんな。
ライリーは、 「あれまーそれは残念ー。」と茶化して言って、ちょうど運動が終わった若葉の元へ飲み物を持って 行った。
***
一人の十代後半の銀色の髪の少女がルークヴォイ達の家の前に立っている。
「ふぅぅ・・・。着いたぁ。疲れたぁ。こんな田舎な町なんて聞いてないよぉ。」
「ほとんどビル無いじゃなぁーい。高層マンションとか一つも無いってどーゆぅことぉー ?」
「はぁぁ、本当にこの家に、あの、” 美人すぎる一流シェフ” の若葉っていう女がいるわけー?パパったら嘘ついてないでしょうねー。」
彼女はシャーナ・ レッド。資産家の娘だ。
両親が激甘に甘やかして育てた為、とんだ我が侭娘に育ってしまった。
世界で一番自分がかわいいと本気で思っている。
両親は都会に住んでいるが、今更ながら、彼女の我が侭をどうにかしたいと思い、せめて人に頼らずに 自立出来るようにと願いをこめて、彼女を知り合いの人の娘が住んでいるシェアホームで一時的に預かって欲しいと頼んだ。
ちなみに知り合いの人の娘とは、若葉のことだ。
「ハッ。そうだぁ ・・・あたしのここに来た目的を忘れるところだったぁ。」
「そうだよぉ ・・・。どんな田舎でだって、耐えて見せる。」
「あたしがこの家に住んでこっちの学校で問題起こさずに 卒業出来たら、あたしの夢に対して、もう絶対文句言われないもんねぇ。」
「 バーとかダンスフロアとかない んだろうなぁ。騒げる場所とか無さそう・・・。 そこがぁ嫌だけどぉ・・・。」
「よしっ。 」
これから、騒がしくなりそうだ。
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